インデックス投資が「米国テック株集中」でも選ばれ続ける理由

こんにちは、ファイナンシャル・プランナーの吉田です。
先日、とあるアクティブ型投資信託(グローバル株式ファンド)の過去約19年分の基準価額データを、MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI=全世界株式指数)と比較してみました。
皆さん大好き「オルカン」の元ネタ指数ですね。
どんな比較かというと、ある月から10年間のリターン、その翌月からまた10年間のリターン…というのをひと月ずつずらしながら、それぞれの成績を比べる方法です。いわゆるローリングリターンですね。
さて結論から言うと、信託報酬を差し引いた後のリターンで見ると、全165回中、その株式ファンドが指数を上回れたのはわずか18%ほどという結果でした。
やっぱりか、と思いましたね。
しかし別にこれは特殊な例ではないのです。
某S&P社が公表している調査では、実は2025年に米国大型株アクティブファンドのなんと79%がS&P500そのものを上回れませんでした。
「良いアクティブファンドを選べば勝てるはず」という直感も、過去に好成績だったファンドがその後も勝ち続けられる確率は、統計的にはほぼ運任せに近いことが分かっています。
なぜインデックスは「正しい」とされるのか
インデックスの基本は「時価総額加重平均」です。
時価総額は「株数×株価」なので、多く発行されている株式で、人気があって株価が高いと時価総額も膨らみますね。これら時価総額で重み付けをして平均を出すので、時価総額が大きい銘柄に引っ張られるようになります。
この時価総額加重のインデックスは、誰かが恣意的に決めた配分ではありません。世界中の投資家が、それぞれの情報や判断に基づいて実際にお金を投じた結果の集計です。ある銘柄・ある国の比率が高いということは、それだけ多くのお金が「そこに価値がある」と賭けている証拠とも言えます。
これが言うところの「市場平均」になるわけです。
個人やアクティブ運用者がその集合的な判断を出し抜こうとしても、統計が示す通り、長期では極めて難しい。
しかも時価総額加重には自己修正の仕組みが組み込まれています。株価が下がれば、その銘柄の指数内ウェイトも自動的に下がる。特定の銘柄に固定額を配分し続けるアクティブ運用とは異なり、「間違った賭けを持ち続けてしまう」リスクは相対的に低いのです。
集中は「意味が大きい」からこそ怖い
さてさて、そのMSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)なんですが。
実は2026年6月末時点でMSCI ACWIの米国比率は63.6%、情報技術セクターだけで32%を占めます。
上位5銘柄、エヌヴィディア・アップル・マイクロソフト・アマゾン・グーグル(アルファベット)だけで指数の17%前後という水準です。これを見て「集中しすぎでは」と感じるのは当然ですよね。
「インデックスはいいんだけど、ひとつに集中しすぎでは…??ガクブル」
これは本当に正しい反応だと思うんです。だから少し検証してみましょう。
ここで取り上げたいのは1989年末の日本です。
当時、日本株は世界の株式時価総額の4割強を占めていました。
「世界中の資本市場が下した集合的な判断」を尊重して当時の世界株指数を素直に持てば、ポートフォリオの4割が日本株になっていたことになります。
ではその後の展開は?多くの方がご存じの通りですね。
つまり「時価総額加重は集合知の反映だから意味が大きい」という論理は、バブルの絶頂でも等しく成立してしまいます。市場が効率的であることと、その時点の価格配分が長期的に見て「正しい」ことは、必ずしも同じではありません。
受け入れる?あえて崩す?
現在の米国テック株集中に対しては、大きく二つの向き合い方があります。
一つは、時価総額加重という「市場の総意」をそのまま受け入れ、コストの低いインデックスファンドで淡々と積み立てを続ける道。もう一つは、その集中を意図的なリスクと捉え、他の地域・資産クラスへの配分を上乗せして分散を強める道です。
どちらが正解かは、後になってみないと分かりません。市場の集合知を信じるなら前者が合理的ですし、歴史は繰り返すと考えるなら後者にも十分な根拠があります。
ただ少なくとも言えるのは、「アクティブ運用で、この集中リスクごと市場に勝とうとする」という第三の道は、統計的にはかなり分の悪い賭けだということです。データが示すのは、運用スキルそのものが悪いというわけではなく、そのわずかなスキルがコスト(主に信託報酬)によってほぼ相殺されてしまう、という構造です。
まずはご自身が、市場の総意を信じて素直に乗るタイプなのか、それとも集中リスクを自ら調整したいタイプなのか、自分はどういうタイプなのか理解することから始めることをお勧めします。もちろん、リスク許容度や投資期間と照らし合わせながら考えてみましょう。
こうした問いを定期的に立て直すこと自体が、長期の資産形成において最も価値のある習慣かもしれませんね。