残価設定型住宅ローンは住宅購入の救世主?

こんにちは、ファイナンシャル・プランナーの吉田です。
今回は「残価設定型住宅ローン」というものを取り上げてみたいと思います。
住宅価格の高騰、そして35年~50年といった住宅ローンの長期化。
「定年後も現役時代と同じ返済額を払い続ける」という人が珍しくなくなっていますが、自動車業界でおなじみだった「残価設定」という考え方が、住宅ローンの世界にも入り始めています。
ここでは、一般社団法人移住・住みかえ支援機構(JTI)と、フラット35でお馴染みの住宅金融支援機構のそれぞれの残価設定型住宅ローン特徴を見てみます。
どちらも「住宅の将来価値(残価)をあらかじめ確定させることで、月々の返済負担を軽くする」という発想は共通していますが、中身は結構違います。
この記事では、2つの制度の違いを整理しながら、FPの視点でメリットと注意点を解説します。
そもそも「残価設定型住宅ローン」とは何か
自動車の残価設定ローン(残クレ)と同じく、あらかじめ将来のある時点での資産価値(残価)を見積もっておき、その残価分については「返さなくていい」「その金額で買い取ってもらえる」といった選択肢を用意することで、月々の返済額を抑える仕組みです。
ただし自動車の残価設定ローンと違うのは、残価設定日が到来したときに一括返済を求められたり、売却を求められたりすることはありません。
残価設定と聞くと、そこを思い浮かべる方もいると思いますが、住宅購入における残価設定ローンの場合はかなり良心的と言いますか、そこは似て非なるものと思ってください。
一般社団法人移住・住みかえ支援機構の場合
JTIは、高齢者向けの住宅賃貸支援「マイホーム借上げ制度」を20年以上運営してきた法人です。その中で蓄積した家賃収入の実績データをもとに、「長く貸せる家=価値が高い家」という視点で住宅の将来価値を算出する独自の手法を確立しました。
制度の特徴
- 認定長期優良住宅であること
- JTIが認定したハウスメーカー・工務店で建てた住宅であること
- 借入から一定期間(残価設定月)経過後、2つのオプションを行使できる新型ローンに切り替わりる
- マイホーム借り上げ制度を利用できる
2つのオプションは何かというと、①返済額軽減オプションと②買取オプションです。
残価設定月まで到達すると、以後の月々返済額を大幅に減らすことが出来る(返済額軽減オプション)ということですが、JTIの実例によると、月12万円→月4万円まで減ったとのこと。残価設定した元本部分を返済に含まないからですね。
また新型ローンに切り替えた後は、いつでもローン残高で買い取ってもらえる(買取オプション)ので、オーバーローン(売却価格よりローン残高が多くてローンが残る)の心配もないのは大きいですね。

柔軟性の高さが際立つ設計
JTIの制度がよくできているのは、「今すぐ残価設定型ローンを組まなくてもいい」という選択肢を用意している点です。
通常のローンで購入しても、「家の残価保証確認証」(購入時の残価保証条件を50年間維持する証明書)を取得しておけば、後からいつでも残価設定型ローンに借り換えられます。
しかもこの証明書は、家を売却するときに買主へ引き継ぐことも可能。「残価設定型ローンが使える家」として売却できるわけです。
いろいろと借り手に有利だなとも思いますが、そこは長年のノウハウがあるようで、うまく仕組みが作れているようですね。
ただし注意点はあって、現在のところ取扱金融機関は3行(日本住宅ローン、三菱UFJ銀行、楽天銀行)のみなので、そこの制約はあるということと、すこし借入金利は上乗せされるという事(といっても0.1375%程度ですが)
つまりJTIの制度は、「対象住宅・提携事業者・賃貸運用方法まで含めて、かなり作り込まれたパッケージ」なだけに、現状では建築事業者や金融機関の選択肢が制限される部分もある、ということにはなります。
もちろん、それが不利益というわけではありませんが。
住宅金融支援機構の場合
住宅金融支援機構は「特定残価設定ローン保険」といいますが、その仕組みをみてみましょう。
端的に言うと、2つのローンを組み合わせるイメージです。
①通常のローン部分と、②あらかじめ残価を設定した部分のローンを組み合わせます。②の部分は利息部分のみ支払いとなるので、①②を足した毎月返済額は少なくなるということです。
また利用者(債務者)が亡くなった時、それから①のローンが終わった後に住宅を任意売却した場合は、②のローンは消えます。

JTIとの違いは、あらかじめ残価設定をする必要があるということでしょうか。
ただし注意が必要なのは、2026年7月現在、実はまだ取扱金融機関はありません。制度自体は創設されましたが、まだまだこれからですね。
残価設定型住宅ローンで救われる?
ここまで見てきましたが、この新しい住宅ローンは、住宅購入を考えている私たちにとって救世主になるでしょうか??
いまのところ、イエス!と言えそうです。
2026年現在、住宅を購入するのに大きな障害になっていること…それは、
- 住宅価格の高騰
- 金利が上がっている
この2点です。このような状況下で、少なくともローンの返済期間を長期化しなければ所有することも難しくなってきています。
このことは、ライフプランに極めて大きな影響を及ぼします。それだけに、残価設定型住宅ローンようなオプションが増えることは個人の生活と社会の安定にとても寄与することだと思いますので、よりよい選択肢が増えていくことは歓迎したいことです。
これからもっと整備されていくと思いますが、しっかり注視しておきたいですね。
今回は以上です。
では。
この記事は2026年7月時点の公開情報をもとに作成しています。実際の借入条件や取扱金融機関は変更される可能性があるため、最新情報は各機関の公式サイトでご確認ください。