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分散投資のメリットとは?

こんにちは、FPの吉田です。

ロシアによるウクライナ侵攻からすでに2ヶ月が経過しました。

この間、様々な事が起こりました。これらは私たち個々人に重い問題を突き付けていますが、今回はこうしたことには立ち入らないでおきましょう。

ただ家計人としての立場からみると、ここ数ヶ月で起こっている事象から学ぶこともたくさんあります。

そこで、あくまで家計を考えるひとつのケースとして取り上げてみたいと思います。

今回取り上げるのは「リスク分散することの大切さ」について。

ほんの少し前に、米国株に集中投資するのはアリですか?という疑問に対する記事を書きました。

私の答えは、「なくはないが、それは一面的な見方だと思っておいたほうがいいんじゃないでしょうか」というものでした。

いま西側諸国によるロシアへの経済制裁と、ロシアによる報復措置によって、ただでさえ上昇基調だった物価が一段と上昇していますが、それに加えて日本の場合は円安にも見舞われています。

いままで当たり前だと思っていたことが、そうではないよ、思っているよりずっとやわなものの上に成り立っているんだよということを、現実が突き付けているようですね。

目次

評価がゼロになることもありうる

実は、ロシア株式指数に投資するという、とあるETF(上場投資信託)の評価価格がゼロになりました。

モスクワの証券取引所は、2月下旬に取引を全停止する措置を取りました。その1か月後、一部で取引は再開されましたが、外国人による取引は実質できない状況が続いており、今後も困難を極める状況はかなりの程度続くだろうことは予想されます。

つまりロシア株は売るに売れないという状況なのですね。

実際のところルールに則って投資信託の評価価格を決めているわけですが、総合的に勘案して換金の見込みがないことから評価をゼロにせざるを得ない、ということなのです。

こういうことが起こりうるのですね。

ETFは投資信託の一種ですが、投資信託の良さはそれ自体が分散されているところにあります。

ひとつの投資信託のなかで、何十~何百・何千もの企業に投資することによって、あるひとつの企業が倒産の憂き目にあったとしても、他のたくさんの投資先が健在なことで緩衝材のように影響を小さくしてくれる効果がある。その結果、投資信託の価格が理屈の上ではゼロになることはない、と。

大きく上がる株もあれば、少しだけ上がる株、少し下がる株、結構下げる株、様々な動きをする株式をたくさん持つことで全体の値動きの幅は小さくすることができる。多様であればあるほど、個々の企業のリスクは無視できるほど小さくなるのですね。

これが投資信託を持つことのメリットです。

ところが、ある国の取引所とまともに取引できない事象が発生すると話は全く変わってきます。そもそも取引できないとなると前提が覆ってしまう。どんなに分散していようがその国の株式に投資する投資信託は、ほぼ価値を失うことになります。

結局、「卵をひとつの籠に盛るな」の格言の通りになってしまうわけですね。

それを避けるためには、今度は国や地域単位で分散をする必要が出てきます。

ロシアの株式市場(株式指数)に単独で投資するって、そんなのなかなか奇特なんじゃないの?という声が聞こえてきそうですが、確かにそうです。米国株式市場に投資するのとは全く意味が違います。一緒にしちゃいけない。

しかしそれを含めて、分散って出来ているかな?っていうことを改めて点検したほうがいいですね。

結局は考え方の問題なのです。健全に疑うことができているかどうか、何かひとつの事に囚われていないかどうか、自分の考え方の柔軟性をチェックするうえでも必要だと思います。

リスクの種類をいま一度、確認してみよう

さて、リスク分散をしておいたほうがいいよね、という話ですが、ここで言うリスクとは何なのでしょうか?

それが分かっていないと分散のしようがありません。

特にある金融商品をこれから購入しよう、という時。その金融商品にはどんなリスクが内包されているのでしょう。

ここでは投資信託の購入時などでよくみられる、一般的に定義される主なもの5つを挙げてみましょう。

信用リスク

投資した会社が経営不安に陥ったり、何らかのモラルリスクが露呈したりすると、証券の価格が大きく変動する可能性があります。あるいは債券(国債や社債など)も、財政破綻や経営難で元本や利子を支払えなくなる場合もあります。

信用に足る投資先なのかどうか、持続的に信用できるのかどうかを100%知ることはできないという意味で、私たちはつねに信用リスクを抱えた状態で投資することになります。

価格変動リスク

金融商品の価格は常に変動します。その会社の業績や財務の状況などに左右されるし、個々の会社とは全く関係がない国内や国外の政治・経済・社会情勢なんかにも左右されます。また日々の取引における売買当事者間の思惑でも当然変わります。

為替変動リスク

円・ドルや円・ユーロなどの為替レートは常に変動しているため、外国資産に投資している金融商品はその影響を受けます。一概に有利不利という話ではありませんが、自分の持っている金融商品が為替変動リスクがあるのかどうかにも目配せしておきましょう。

カントリーリスク

外国の資産に投資する場合は、その投資先の国の政治・経済情勢・社会環境などに左右されます。国によっては外国為替規制、資本規制等の影響を受けますから価格が大きく変動する要因になります。今回のロシアの件は、まさにこのリスクだといえます。新興国などはこの手の規制が多く、その結果価格の変動が大きくなる場合があるので注意が必要です。

流動性リスク

市場規模が小さいとか、取引量が少ないなどの場合、そもそも希望した価格で取引が成立しない場合が往々にしてあります。資金を引き揚げたいのに取引が成立しないのでは目も当てられません。投資信託なら純資産価額が大きいかどうかとか、株式なら出来高が大きいか等、自分の投資先の規模が大きいかどうかは事前にチェックしておきたいところです。

以上、主なリスクを挙げてみました。信用・価格変動・為替・カントリー・流動性の5つですね。

これらは金融商品の値動きの要因として挙げられています。大まかに5つくらいに分けていますが、これが全てではなく細かく検討すればもっと分けることも出来ると思いますので、よければ考えてみてください。

この5つのリスク要因、自分である程度コントロールできる部分とできない部分があると思います。

例えば「為替リスクを取りたくない」という場合には、円建ての商品にのみ投資するという方法で、商品の為替変動リスクをコントロールすることはできます。(ただし円安で資産価格が大きくなる商品と比較した場合の話はまた別)

このように為替・カントリー・流動性リスクは、ある程度自分で選択することが可能です。

これに対して信用リスクはどうやっても取り除くことはできませんから、本質的に受け入れるしかありません。

これらを踏まえて、リスク分散を考えてみてください。

さて金融商品の説明書には、どんな投資リスクがその商品にあるのかが、上記のような具合で書いてあります。例えば投資信託なら「目論見書」がそうした説明書にあたりますが、そのなかにきちんと記載されています。

まずはそれを読んで、商品のリスクを理解すること。それから分散について考慮していきましょう。

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