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奨学金制度について簡単にわかりやすく

こんにちは、FPの吉田です。

この時期になると、お子さんの在学している高校から「奨学金」のご案内があるかもしれません。

けれど、あまり今まで奨学金について意識していなかった親御さんも多いかと思います。馴染みがなく、知識がないためよく分からず、そのまま放置してしまう場合もあるかもしれません。

今回はそんな奨学金制度について、日本学生支援機構の制度の全体像をかいつまんでみようかと思います。迷われている親御さんやお子さんの力になれば幸いです。

目次

奨学金制度とは

いわゆる教育資金として活用できるものに、教育ローンや奨学金制度があります。

教育ローンは教育資金として親御さんが借り、親御さんが返済していくもの。奨学金は進学するお子さんが借り、お子さん本人が返済していくもの。

教育ローンは国や民間銀行など、奨学金は国や地方自治体、大学や公益法人、民間企業などが実施しています。

運営主体は結構多岐にわたりますね。

そのなかでまず最初に検討するであろうものは、いわゆる”国の制度”といわれるものだと思います。

奨学金の場合は、「独立行政法人 日本学生支援機構」ですね。

それではこの日本学生支援機構の提供する奨学金について、少し見ていきましょう。

日本学生支援機構の奨学金は3種類ある

日本学生支援機構の奨学金は、大きく3つに分けられます。

給付型奨学金、第一種貸与型奨学金、第二種貸与型奨学金です。

給付型奨学金はその名が示す通り、返済義務がない奨学金です。

貸与型奨学金は、元本返済のみで利子が付かない第一種と、利子がある第二種に分かれています。

つまり、

  • 給付型奨学金(返済不要)
  • 第一種貸与型奨学金(無利子)
  • 第二種貸与型奨学金(有利子)

となっています。

これの意味するところは、

  • 申込みのし易さは3→2→1の順
  • 借りる額の多さも3→2→1の順

と、ものすごく大雑把に言うとこうなっています。ちょっと怒られそうですが。

奨学金は、学力基準と家計基準がありますが、その他も含めてこの3種類、少しずつ違いますのでそれぞれ見ていきましょう。

給付型奨学金

給付型奨学金は、経済的な理由で大学や専門学校への進学をあきらめなくてもよいように支援していく制度です。

学業成績だけで判断せず、学ぶ意欲があれば支援を受けることができます。また対象となれば授業料や入学金の免除・減額もされますので、本当に意欲があり学びたい方にとって、とても良い制度だと思います。

申込に際し、学力基準家計基準をクリアする必要があります。

本人の学力基準については、

  1. 高等学校等における全履修科目の評定平均値が、5段階評価で3.5以上であること
  2. 将来、社会で自立し、及び活躍する目標をもって、進学しようとする大学等における学修意欲を有すること

のいずれかに該当すれば大丈夫です。

家計基準については、本人と生計維持者の「収入」および「資産」が見られます。経済的理由で学びたいのに学べない方が対象ですので、ここはある意味、基準が厳しくなっています。

まず収入基準は、本人と生計維持者の前年収入から、市町村民税所得割非課税~支給額算定基準額合計が154,500円未満までとなっており、4つの区分に分かれています。

ちょっと分かりにくいですね。(汗

仮に両親がともに給与所得者で、本人と中学生の弟妹がいる4人家族だとすると、両親の年収を合わせて742万円までとなります(機構のHPより)

つぎに資産基準は、申し込み時点の本人と生計維持者の資産額合計が2,000万円未満であることです。この資産の対象となるのは、概ね現預金と有価証券(株式や国債、投資信託)ですので、不動産や学資保険などは対象となりません。

収入基準の対象に本人が該当したり、資産基準があったりするのは、この給付型奨学金だけです。

では給付される支給額についてはどれくらいでしょうか。

さきほど4つの区分があると書きましたが、区分ごとに支給額が違います。また自宅通学か自宅外通学か、国公立か私立かによっても異なります。

第1区分(住民税非課税世帯)に該当し、私立大学の自宅外通学の場合で、月額75,800円。

第4区分に該当し、国公立大学の自宅通学となると、月額7,300円となります。

見方によれば支給額がすごく大きいというわけではないかもしれません。給付型という性格上、ある程度収入がある世帯には負担いただくという趣旨がみえます。しかし、授業料や入学金が減免されることも考えると、学びたいけれど進学できないかもしれないと思っていた方にとって、大きな支援になるのではないでしょうか。

ただ一般的に、給付型と貸与型では、貸与型奨学金の利用者が大半を占めています。

第一種貸与型奨学金

その貸与型奨学金のうち、まずは無利子の第一種奨学金から見ていきます。

ひとまず学力基準はさておいて、家計基準です。

貸与型の場合は生計維持者、つまり両親の収入でみます。先ほどの例にならって、給与所得者である両親と、本人、中学生の弟妹がいる4人家族の場合、目安は世帯収入803万円以下です。(機構HPより)

では、貸与される月額はいくら位でしょう。

給付型奨学金は収入基準別に区分を4つに分けましたが、貸与型の場合、そこはシンプルに1つなっています。ただし国公立・私立の別、自宅・自宅外の別はあります。

大学進学の場合、最低月額20,000円から。国公立大学・自宅通学で最高45,000円、私立大学・自宅外通学で最高64,000円となっています。

これも、そこまで大きい金額ではないのでは?と思われるかもしれません。ただ無利子とはいえ、返済が必要なことを考えると、丁度程よい額ともいえます。

第二種貸与型奨学金

では元本とその利息の支払いが必要な第二種貸与型奨学金はどうでしょう?

まず家計基準ですが、第一種奨学金と同じ例でいくと、世帯年収の目安は1,250万円となります。かなり枠が広がった感じがありますね。

そして貸与月額です。

こちらは月額20,000円~120,000円(10,000円刻み)となっています

国公立・私立や自宅外通学の区別などはありませんので、さらにシンプルですね。

月額12万円までとなると、かなり大きいと感じますので、利用可能性が広がりますね。

ただし、ただしです。

もちろん元利返済(返還)が必要になってくるので、そこはあまり安易に考えると、後々大変になる可能性があります。

そこで第一種と第二種の返済について、併せて見ていきましょう。

貸与型奨学金の返済方法について

まず共通しているのは、貸与期間終了の翌月から7ヶ月目に返済が始まります。口座振替での返済となっています。

どちらも基本的に貸与総額により、自動的に返還月額と返還年数が決まってきます。

第一種貸与型奨学金の場合

元本返済のみの第一種奨学金の場合、厳密には①定額返還方式と、②所得連動返還方式があります。

定額返還方式は、その名の通り一定額を返還するタイプです。いたって普通ですね。

所得連動返還方式は、前年の所得に応じて返還月額が変わります。そのため、いつ全額が返還できるかは読みにくくなります。ただ所得があまり高くない時でも、それに応じた月額で返還できるので、無理のない範囲で返還していけると言えます。

とりあえず、返還シミュレーションをしてみましょう。

定額返還方式で、最高貸与月額64,000円の場合、4年間の貸与総額は307.2万円。月々の返還額は14,222円、返還期間は18年です。

第二種貸与型奨学金の場合

第二種奨学金は元利均等の返還方式をなります。つまりこれも毎月一定額を支払っていく方式ですね。

この第二種では有利子ということで、利率の方式を選択していくことになります。次のどちらかです。

  1. 利率固定方式
  2. 利率見直し方式

住宅ローンとよく似て、固定か変動か、という話です。

利率固定方式は、貸与終了後に決定した利率が適用されますが、返還完了までその利率は固定されます。

利率見直し方式は、おおむね5年ごとに利率見直しとなります。

一般論として、固定方式より見直し方式のほうが利率は低いです。ただし現状、まだまだ低金利なので、その差がそこまで大きいとはいえません。例えば2024年4月現在、利率固定方式は1.14%、利率見直し方式は0.5%です。

これもこの利率で返還シミュレーションしてみましょう。

貸与月額10万円(4年総額480万円)の場合、利率固定方式は22,487円、利率見直し方式は21,069円の返還月額となります。どちらも返還期間は20年となりました。

これからは金利上昇局面に入る蓋然性はじゅうぶん高いので、固定か見直しかの選択はシビアになってくるかもしれません。ただし金利は3%が上限となっていますので、このことは念頭に置いた方が良いでしょう。

この固定か見直しかの選択は、申込時にすることになっています。ここも注意は必要です。4年後のことは想定しにくいと思います。

ただこれも、貸与期間の最終年度において変更が可能なので、その時点で考える余地は残されています。

返還が滞ってしまったら

いずれにせよ卒業後、最長20年程度、返済(返還)していかなければならないので、やはりそれは負担になります。それでもし、返還が滞ってしまったらどうなるでしょうか?

もちろん、他のローンと同様に、返還を迫られることになります。

延滞金が課され、延滞3ヶ月目以降は個人信用情報機関に登録(いわゆるブラックリスト化)されてしまいます。

こうなると自動車ローンや住宅ローンなど、これから必要になるであろう各種ローンも極めて借りにくくなります。

また奨学金制度では、連帯保証人を立てる(人的保証)か機関保証を利用することになりますが、保証人に対しても督促が行われます。最終的には延滞金含め一括返還請求されたり、強制執行されたりします。

このようにライフプランに様々な影響が出てくるわけです。

制度上、返還が難しいとなった場合は、月々の返還額を減らす減額返還制度や、返還を待ってもらう返還猶予制度もありますので、事前に知っておくことは必要でしょう。

返還開始後、順調に払っていけるのかは未来のことですから何とも言えません。病気になったり災害に遭うこともありえます。そのようなことから、奨学金については慎重に考えることが必要でしょう。また本人が返還していかなくてはならないという認識がない場合もあるようなので、自覚を促す必要もありそうです。

まとめ

日本学生支援機構の奨学金について、簡単ではありますが、ざっと見てきました。

お子さんが、学校から案内を持って帰った場合も慌てず、なるべく簡易に全体を把握したうえで判断できるようにまとめたつもりですので、ご参考にしていただければ幸いです。

先程の返還シミュレーションも、日本学生支援機構のサイトにありますので色々と入力してみると良いと思います。

また本当に簡単に説明しましたので、細かい部分は支援機構のサイトを参照してみてください。

では。

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