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資産運用の誤解2:外貨預金は資産運用になるの?

こんにちは、ファイナンシャル・プランナーの吉田です。

資産運用の相談でたびたび聞かれることがあります。それは、

「何で運用すればいいの?」

という相談です。

そうなんです。運用する、投資する、といっても、その投資対象となる資産ってたくさんあります。

株式、個人向け国債、投資信託、外貨預金、ETF、不動産投資信託、金・プラチナ、先物取引、オプション取引、変額保険、外貨建て保険、FX、暗号資産、外国株式、海外債券、原油、商品…

細かく数えだしたらキリがありません。これにNISAとかiDeCoとかごちゃまぜになって、何が何だか分からないのが実際だろうと思います。

こんなとき私は、

「株式と債券、そしてこれらで組成される投資信託、この3つが基本です。これらの仕組みを理解しておけば、他はもうおまけです。」

とアドバイスします。

  1. 株式
  2. 債券
  3. 投資信託

この3つは基本中の基本で、とりわけ株式と債券は伝統的資産と言われるくらい、何より重要です。

逆にこの3つを蔑ろにして他の資産に投資するのは、守破離の守を身につけずに応用ばかりに走ってしまうようなものです。もったいない。

ですので、この3つの資産の仕組みについては押さえておいて頂きたいなと思います。

ところで、このなかでよく聞かれることに、

「外貨預金ってどうですか?」

というのがあります。

外貨、つまり米ドルや豪州ドル、ユーロその他もろもろ…。この質問には外貨建て商品やFX(外国為替証拠金取引)などを含みます。

実際のところ、外貨商品は資産運用になるのでしょうか?

目次

外貨商品の性質を考えると…

外貨の魅力といえば?

  1. 日本よりは金利が高い
  2. 為替差益が狙える

この2点が挙げられると思います。

金利に関しては先進国中心に、もうかなり長く低金利化傾向にありますから、預金としては魅力がなくなってきています。しかし外貨建て保険商品やFXに関しては、まだまだ円よりはマシだ、と思えるかもしれません。

また為替の面では、今より円安になればその差が利益になるので「円で持っておくよりは!」となるのも分かります。

今でこそ世界的な低金利なので、相対的な魅力は薄れていますが、もしこれが以前のような金利の状態に戻るのなら、外貨でこそ資産運用!となるのでしょうか?たぶんなりそうですね。でも本当に?

ここで少し資産運用の意味について、掘り下げてみたいのです。

資産運用の王道とされる株式。

株式とは、企業の経済活動の結果による価値がそこに表れています。たくさんの企業があって、そこで働くたくさんの人がいて、知恵を絞って生産活動や販売活動をして、消費者がそれを支持したりしなかったり、その結果が株式価値として反映されているわけです。

では、外貨はどうでしょう?

ドル円、ユーロ円、ポンド円…、つまり為替レートですよね。これらは単に交換レートを表しているだけで、それ自体が経済活動をするわけではありません。

相対的な交換レートを表しているだけのものを、資産運用として投資対象に含めるべきでしょうか?

少なくとも私は、ちょっと違うだろうと思っています。

「そんなこと言ったって、為替差益も出るし、金利も得するなら、立派な運用じゃないか」

確かにその通りです。でももうちょっとだけ話を聞いてください。

たとえ話です。

ここにAという国とBという国があったとします。どちらも同じくらいの経済規模・国力だとします。

いまA国の金利が高く、B国の金利が低いとすると、どうなるでしょう?

A国の金利が高いので、B国の住民はみんなA国の通貨にこぞって交換するでしょうね。ですから「A国通貨高・B国通貨安」になります。

「A国の通貨を持っているだけで、左団扇だぜ!金利収入はあるし、為替差益もたっぷりよ。わっはっは、安泰、安泰!」

高笑いが聞こえてきそうですが、こんな不均衡はいつまでも続くのでしょうか?だって似たような国力の国同士ですよ?一方だけが得をするという状況が続く?

そんなわけはありません。この一方的な状況を調整するように、為替レートは動きます。

つまり、高金利のA国と低金利のB国がバランスを取れるように、A国通貨は安く・B国通貨は高くなっていきます。差し引きチャラです。

もうひとつ例を出します。

A国で売られているビッグマックに比べて、B国のビッグマックが半額だとします。つまりB国はA国に比べて物価が安い。

もしこの状況が捨て置かれるなら、B国のビッグマックを購入してA国で売れば(そんなことが出来るとして)、大金持ちになれるでしょう。これまた左団扇です。

ですがお察しの通り、これまた一方的な状況を許さないように為替レートは動きます。つまり A国通貨は安く・B国通貨は高くなっていきます。差し引きチャラです。

え?そうなん?と思うかもしれません。しかし理屈としてはそうなのです。どういうタイミングで調整されていくかは誰にも分かりませんが、現実もそうなったりしています。

だって、あなたが日本円を売るとき、買ってくれる相手方がいるのですから。いつまでもあなたにとって得なように動くでしょうか?そのことを忘れてはいけません。

このように、為替レートはいわば調整役なのです。資産運用としてイメージするものとは、ちょっと違うことがお分かりいただけるでしょうか?

外貨商品はリスクヘッジとして考える

少子高齢化・人口減少などによりだんだん老人化していく昨今の日本。ジャパン・アズ・ナンバーワンなどと言っていた時代はいつだったか忘れるくらい、世界的にみて賃金の伸び悩みや相対的な物価安に喘いでいます。

しかし先ほどの例でみたように、本来であればそれは為替レートで調整されていくはずです。

つまり円高になってなくちゃおかしいのです。

これが円安に誘導する政策による成果なのかどうかは分かりません。ただ衰えた国力が反映されたものだとすると、実質的な円安は続いてしまうでしょう。

このように考えると、外貨商品は資産運用といういうよりもリスクヘッジ商品だ、ということが言えると思います。

国力が衰え、円が弱まり続けると、為替レートも円安に振れたり、物価高も起こり得ます。輸入品が高くなったり、輸入される原材料費が高くなることでモノの値段が上がってしまうのですね。ここで円しか持っていないとすると、ただただ物価高が直撃してしまう。

そういうリスクに備えるために(リスクヘッジ)、外貨商品が有効になるわけです。

もちろん円高になる可能性だってありますから、そこはほどほどに、ですけれど。

何にしても、これが私が外貨商品は資産運用ではない、と思う理由です。

例えばこの先、保険屋さんや銀行窓口で外貨建て保険などを勧められたときに、どのように話しているかを注意深く聞いてみてください。もし資産運用だと捉えているなら、為替そのもの、つまり単なる通貨の交換が価値を生むと考えている節があります。すると、上記のA国・B国のような例は考慮されていない可能性があります。

いや、いいんですよ。結果としてその商品を持っている間は円安になったし、金利も付いてお得だったのなら。でもそれは結果論であって、それを資産運用と思わないほうがいいですよ、という話です。

(あ、ちなみに保険は運用ではなく保障のためのものですから、そこはあしからず)

最初に戻りますと、資産運用の王道はあくまで株式と債券、まずはこれだけをしっかりと押さえておけばいいと思います。

ご参考になれば幸いです^^

そんなことで今回は以上です。

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