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住宅ローン:全期間固定と10年固定、どちらを選ぶ?

こんにちは、ファイナンシャル・プランナーの吉田です。

今回は住宅ローンについて。

住宅ローンを組むときに悩ましいもののひとつに、

  • 変動金利か固定金利か
  • 固定金利だとして何年固定にするのか

があると思います。

このうち、固定期間をどうするか?ということを今回は話題にしてみたいと思います。

そのなかで、固定金利変動型の10年固定タイプのものと、フラット35のような全期間固定タイプの比較を通して、金利のそもそも論を展開したいと思います。

ですので、あくまで一般論になりますが、基本的な考え方が共有できればと思います。

(※金利などは記事執筆時点のものを参照しています。予めご了承ください)

長期になるほど金利が高い理由

さて一般的に、固定金利変動型タイプ(3年・5年・10年固定など)と全期間固定タイプでは、固定金利変動型のほうが金利が低く手数料が安くなります。

これは固定期間が長くなればなるほど、銀行の機会損失リスクが高くなることの裏返しです。

銀行からすると、10年後の金利が現在よりも上昇していた場合、上がった金利で得られたはずの収益を全期間固定の場合はみすみす逃してしまうことになります。

固定期間が長期であるほどそうしたリスクは高くなりますから、そのリスクを含んだぶん金利が高いわけです。

逆に借り手である私たちからすると、短い固定期間の金利が低いことは魅力ですが、金利上昇のリスクを常に含んでいます。全期間固定の場合はその点安心ですが、金利が上昇しなかった場合は余分にお金を払ったことになります。

保険の考え方と同じですね。余分に払ったお金を保険料とみるかどうかで、ローンに対する見方が変わってくると思います。

10年固定と全期間固定、結局どっち?

さて、2021年現在の日本は、いまだゼロ(マイナス)金利政策下にあります。

この金融政策というのは住宅ローンの場合、短期の変動金利は政策金利、長期固定金利は国債の金利に影響を受けます。

政策金利は日本銀行がコントロールできますが、国債の金利は債券市場の取引で決まります。とはいえ、国債も日本銀行が買い入れている状態です。つまり、いまの日本は政策金利を低くし、短期から長期にかけて金利を低く保つようにしているわけです。

そんな状況から、全期間固定と10年固定の金利差があまりありません。(もちろん金融機関によります)そのため、月々の返済額に大きな差が付きにくくなっています。

こうなると、10年固定を選択するメリットがあまり無いことになります。

その理由です。

ほぼ全ての民間住宅ローンは、新規借入時は大幅な金利優遇をしていると思います。

基準金利 → 金利優遇適用 → 新規借入時の金利

では固定金利変動型(例:10年固定)の場合、固定期間終了後の金利は、どうなるのでしょうか?

それは、その時点の基準金利をもとに次の融資利率を決めることになります。

固定期間終了後も金利優遇はあるのですが、新規借入時に比べ、優遇幅は悪くなることが多いです。そのため現在の適用金利と比較するとかなり割高に感じるのではないかと思います。そのうえ10年後の基準金利がどうなっているか分からないため、さらに金利上昇リスクが伴います。

10年後の基準金利 → 新たな金利優遇 → 10年後の適用金利 (ん、高い?) 

もちろん、その時点の借入残高と借入残期間に対するものなので、返済額が大きく変わらない場合もあります。

しかし、どの程度それを許容できるかは事前に計ることができません。予め金利と返済額のシミュレーションはできても、10年後の社会情勢や、10年後の自分自身の状況を今わかることは出来ませんよね?ということです。

したがって全期間固定と10年固定の毎月返済額の差が許容できるのなら、全期間固定を選ぶべき、となります。それ以外の合理的な理由は探しずらくなりますね。

何度も言いますが、あくまで一般論としてです^^;

さらなる金利の低下はある?

次は可能性として、10年後の金利の行方、つまり金利が下がる場合を考えてみます。

今後、日本銀行のマイナス金利深堀りがあった場合はどうなるでしょう?この場合は、現在の水準よりさらに下がる可能性もなくはないですね。

実際、日銀が初めてマイナス金利を採用した2016年当時は、住宅ローンの金利も現在よりもう少し低かったですから。

ただし、それより低い住宅ローン金利を求めるのであれば、それはローンそのものの仕組みや固定概念を大きく変革するものとなる可能性が高いでしょう。

そうなると現実的には、借入する私たちの立場でそこに賭けるのはリスクが高いといえるでしょうね。

またゼロ金利下である現在はほぼ最低金利ラインであると思ってよく、むしろ足元では少しずつですが、上昇気配もあります。

そのため、要素を分解すると、

  • 金利が下がる場合は、その下げ幅の余地は大きくない
  • 金利が上がる場合は、上げ幅の余地はとても大きい
  • 蓋然性でいうと、金利が上がると考えるのがむしろ自然
  • もちろん、ほとんど変化なしの場合も大変ありえる

ということになります。

こうしたなかで、ご自身がどの立場を取るかを考えてみてください。

何にせよ、最もリスクが高そうなのは金利上昇である、ということはいえます。

したがって借入する立場からすれば、金利上昇に対する側の備えをどうするか?ということを考えておくことがより望ましいといえるでしょう。

もちろん再々同じことを言いますが、金融機関によって金利差はまちまちですし、彼らがどのような住宅ローン戦略を取っているかで金利優遇や手数料その他含めて大きく変わります。またご自身の借入金額や借入期間、返済比率やらで、その人それぞれによって全然違いが出てきますから、あくまで一般論です。

そのあたりの細かいことに迷われたら、ご相談ください。

ただ今回の内容は根本的な事ですから、考え方は押さえておいていただけたらと思います。

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