こんにちは、ファイナンシャル・プランナーの吉田です。
最近、「スマホ銀行」なるものが登場してきたようで、それについてちょっと書いてみたいなと思います。
スマホ銀行、つまりスマホと銀行が何やら融合したようですが、どういうことなんでしょうか?
どうやら国内初の「スマホアプリのみで振込・支払い・入出金が完結する銀行」が誕生したようなのです。
どこが始めたかというと、ふくおかフィナンシャルグループの子会社である株式会社みんなの銀行というところで、今年5月末頃にアプリをリリースしたようです。
福岡の銀行ですか。徳島にいるとほぼ用事ないですよね(笑)なるほど、そういう意味では銀行の新たな戦略の形としてみると興味深いですね。
ただ、利用者である私たちにとってはそれだけの意味合いではないようです。そこで、スマホに銀行があるということはどういうことなのか?今後の私たちの生活にどのような変革をもたらすのか?少し考えてみます。
ネット専業銀行とは違うらしい
実はこの「みんなの銀行」は、国内初のデジタル銀行という触れ込みで話題になっているのですが、正直なところ、利用する側にはそれによって何か恩恵があるのでしょうか?
とりわけ、すでにインターネット専業の銀行はあるわけで、それと何が違うの?というのは正直な疑問だろうと思います。
そこで私自身、口座を開設して、どう違うか体感してみることにしました^^
これまでのネット専業銀行との大きな違いとして、ネット専業銀行はあくまでウェブサイトを中心としてデザインされていて、その延長上にスマホアプリもあるという位置づけです。
みんなの銀行はスマホアプリのみで完結しており、ウェブサイトはありますが、そこからログインするような仕様にはなっていません。
確かにアプリの中だけに預金口座がありますし、入出金明細など確認できるのはすべてアプリだけです。
なるほど、完全に手の平の中だけに銀行が存在するのですね。
もともとデジタルネイティブ世代に向けて作られたアプリのようですから、この仕様には納得です。
触ってみた限り、いわゆるUX/UI(ユーザーインターフェースやユーザー体験)などのユーザビリティはとても機能していると感じました。使っていてストレスがない。
物理的に存在する銀行(ATMやら窓口やら紙の通帳やら印鑑やら)のことを想像しながらこのアプリをみると、確かに使い心地はいい。
利用者が銀行に感じる煩わしさ、つまり待ち時間とか、使いたいときに店舗が開いてないとか、手続書類がたくさんとか、そういった面倒くさいことを極限まで小さくすることがこのアプリの目的でもあったようですから、それを思うと素晴らしく成功していると思います。
ただ、それだけだと使い勝手のいい銀行ってだけなんですよね。(いや、これだけでもとても凄いことなんですが 汗)
これで何ができるか?が次のポイントかな、と。
PayPayなどと何が違うの?
スマホに銀行口座がある、ということは、送金や決済が楽になる、と同義でもあります。
このアプリにはデビットカードが搭載されています。つまり商品の購入時にスマホでキャッシュレス決済すれば、即この銀行口座から引き落とされるわけです。
また送金(振込)の操作も簡単です。キャッシュレス送金でよく例に挙げられる「割り勘」も楽々です。つまり幹事さんに割り勘代を払う時に、スマホ-to-スマホで事が終わるわけです。お父さんから東京の大学へ通う娘さんへの送金も、これを使えばラクラクです。いや東京どころか、スタンフォード大へ通う娘さんへもOKです!(知らんけど)
…いや待てよ?これPayPayやLINE Pay等々と、何か違うところはありますか??
アプリで送金も、キャッシュレス決済も、他のキャッシュレスアプリで出来ますけど?
デジタル銀行でしかできないことはこれからに期待
確かに、PayPayやLINE Pay等のアプリは送金までできます。ですが法的には、彼らは「資金移動業者」という括りになります。
したがって、1回あたりの送金額上限は100万円までだったり、滞留してあるお金はいわゆる銀行口座とは扱いがちょっと違います。
銀行は顧客の資産保全のために厳しい規制がありますが、資金移動業者はその規制が緩いぶん、出来ることに限りがあります。しかしその裏返しで機動力があるために、様々な事業者が様々なサービスと組み合わせることで、利便性を生んでいるのです。
ただ近年、キャッシュレスの推進(というかデジタル化の進展)のために、その規制の垣根はある意味フラットになってきています。
つまり銀行業自体もデジタル化の進展に合わせて、ゴソっと変わる必要に迫られていて、そのひとつの表れがスマホ銀行なわけですね。
銀行口座がスマホの中にあるってだけでも結構凄いことなんですが、今後は「デジタル銀行じゃないとできないこと」がどんどん出てくる可能性があります。
今はまだPayPayなどと大きな違いは感じられませんが、今後の変化が楽しみです。利用者にとっては「煩わしさの解消」と「多様なサービス」はありがたいことですから。
もうすでにこのみんなの銀行さんは動いているようですが、よりパーソナライズされたサービスを提供していく予定のようです。
例えば私のお金のニーズと皆さんのお金のニーズとは少しずつ違います。例えば従事する職業によっても、求められるお金のニーズは違うでしょう。そうした個々に求められるニーズに対応できるのもデジタル化の強みです。
ですから、私と皆さんと「同じアプリを使っているのに受けている金融サービスは全然違う」ということが起こり得るかもしれません。近い未来にはそういう世界が普通になっているかもしれませんね。
来年、2022年以降もこうしたデジタル銀行はどんどん出てくるようですので、試して使いつつ、こうしたことに慣れていきたいですね。